9.11〜イラク戦争の頃から
変わってないなあ、と思いまして。
ジャーナリスト安田純平さんの件で、
日本ではいまだに「自己責任論」なんて言葉が飛び交っていますが、
おそらく「自己責任」という言葉を振りかざしている人の大半は、
この言葉の意味がわかっていないんだと思われます。
まず「責任」を調べると、どの辞書でもこんな感じの説明です。
1 立場上当然負わなければならない任務や義務。「引率者としての責任がある」「責任を果たす」
2 自分のした事の結果について責めを負うこと。特に、失敗や損失による責めを負うこと。「事故の責任をとる」「責任転嫁」
3 法律上の不利益または制裁を負わされること。特に、違法な行為をした者が法律上の制裁を受ける負担。主要なものに民事責任と刑事責任とがある。
出典:デジタル大辞泉(小学館)
わかりにくいですね(笑)
要するに、
1は「誰が後始末をするのか」
2は「誰のせいでこうなったのか」
(3は1と2を合わせていますね)
「誰が後始末をするのか」と「誰のせいでこうなったのか」は、似ているようで違います。
日常生活では、
散らかした人が片付ける
壊しちゃった人が弁償する
原因を作った人と後始末をする人は同じです。
でも
子どもが高価なものを壊しちゃった、という場合は
子どもは後始末できないので、代わりに親が弁償しますよね?
「誰のせいなのか」と「誰が後始末をするのか」は一致しないケースがあるんですよ。
ということは、「自己責任」という言葉にも意味が2つあることになります。
1「自分で後始末をする」
2「自分のせいでこうなった」
安田さんに対し「自己責任だ!」と責める人は
「お前が『原因』だ」という2の意味。
「自己責任とか言うな!」と反論する人は
「邦人保護という『後始末』は国家の義務だ」という1の意味。
「自己責任」という言葉の意味が2通りあるために
平行線の議論が続いているわけです。
「『責任』には意味が2つある」という話、
2011年の『何を書けばいいかわからない人のための小論文のオキテ55』でも
2013年の『仕事に必要なのは「話し方」より「答え方」』でも書いたのですが、
合わせて12万部世に出たはずなのに、
日本の社会って変わらないものですねえ(苦笑)
「ビジネス国語」によって職場の諸問題を解決する研修講師。
就職試験の論文をほぼ白紙で提出し3社連続で落とされたのをきっかけに論文試験の攻略法を研究。誰でも書ける独自のメソッドを開発した結果、大手大学受験予備校の小論文講師に抜擢される。参考書「何を書けばいいかわからない人のための小論文のオキテ55」はシリーズ累計25万部のベストセラーに。
その後、所属予備校が業界最大手から陥落し全国の校舎を閉鎖、自身もリストラされる怒涛の数年間を経験。意思疎通のエラーで混乱していく組織を詳細に観察し「ビジネス国語」を体系化する。独立後は社会人教育に転身し、大手企業の社員研修に多数登壇。受講者との軽妙なやり取りは「研修というより、めちゃくちゃ役に立つエンタメ」と評される。
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