「教養」か「ロジック」か
ロジカルコミュニケーション・コンサルタントの鈴木鋭智です。
企業研修やビジネスセミナーで「仕事における論理的な書き方・話し方・議論の仕方」を教える仕事をしていますが、
いまだに「国語の先生」とよく呼ばれます。
実際、数年前まで予備校で「国語の先生」をやっていたので確かにそうなんですが。
その頃書いた『何を書けばいいかわからない人のための 小論文のオキテ55』という参考書もおかげさまでヒットしたので、やっぱり「小論文の先生」「国語の先生」と呼ばれます。
でも「国語の先生」と名乗ると、よく誤解されるんですよね。
「国語の先生ですか。じゃあ字なんかお上手なんでしょうね」
いえいえ、字が下手だからパワーポイントを使っているんです。
「文学とかお詳しいんですよね?」
ぶっちゃけ、大人になってから文学作品はほとんど読まないですね。(笑)
学校の「国語」にも、いろいろあるんですよ。
学校の「国語」という科目には大きく分けて2つのジャンルがあることをご存知でしょうか?
「古文と現代文」という括りではありません。
「教養」と「ロジック」です。
「教養」というのは・・・
・美しい日本語の表現
・正しい敬語の使い方
・漢字や熟語の知識
・手紙の作法
・文学の知識
多くの方が小中高の「国語の授業」として思い浮かべるのはこれらだと思います。
これに対し「ロジック」というのは・・・
・誤解されない説明の仕方
・的を射た受け答えの仕方
これは「聞いたことないよ」という方が多いでしょう。
実は学習指導要領をよーーーーっく読むと「論理的に」という文言はチラチラ出てきます。
ただ、チラチラ程度なので現場で体系的に教えられることはほとんどありません。
そこがこの国の国語教育の大きな欠陥なのですが、その話はまた後日。
学校がそんな現状なのは仕方ないとして、
現代のビジネスマンにとって必要な「国語力」は「教養」か「ロジック」かといったら、
それは断然「ロジック」です。
その理由は二つ。
1 敬語や漢字、文学史の知識は検索すれば済むから。
2 日本語の教養は日本国内だけのローカルルールに過ぎないから。
いまの時代、どこの会社でも取引先が外国の企業というのは普通です。
お客様が外国人というケースも急増しています。
部下が外国人、上司が外国人という職場もこれからますます増えるでしょう。
日本国内でしか通用しない知識で頭をいっぱいにしている「教養人」が活躍できる場は年々狭まっているのです。
和歌や漢文の素養で出世できたのは平安時代の話。
達筆であることが出世の条件だったのは明治時代の官僚。
グローバルなビジネスにおける共通言語は、英語よりもロジックです。
まず、論理的な書き方・話し方・議論の仕方を磨きましょう。
きれいな外国語に訳すのは優秀なスタッフに任せればいいんです。

ビジネス書・受験参考書著者
株式会社キャリア・サポート・セミナー顧問講師
「ビジネス書著者のロジック✕予備校講師のわかりやすさ」を武器とする企業研修講師。
若手社員〜管理職の問題解決トレーニングのほか、広報・セールスライティングのコンサルティング、プロの著者を対象とした文章指導など幅広く活動。
公開セミナーでは満席御礼を連発し、「受講翌日に契約が取れた」「職場の人間関係が改善できた」「笑いと学びが濃密で3時間まったく飽きない」などの評価を得るほか、セミナーの内容をまとめたビジネス書『ミニマル思考 世界一単純な問題解決のルール』は韓国、台湾でも翻訳出版される。
代々木ゼミナール講師時代、ロジカルシンキングを高校生向けにアレンジした参考書『何を書けばいいかわからない人のための小論文のオキテ55』を出版。発売から6年連続Amazonカテゴリ1位、シリーズ累計20万部を超えるヒットとなり、2013年から2014年までNHK Eテレ「テストの花道」に小論文の先生として出演する。
1969年、青森県生まれ。東北大学大学院文学研究科修士課程修了(認知心理学専攻)。