仕事をしていると、
いろんな事情が立ちはだかって
折り合いのつけ方が問われることも多いものです。
20年くらい前、
仙台七夕祭りの期間に開催される「夕涼みコンサート」に出演しました。
その時はバンドではなく、いわゆるユニットです。
テクノっぽいシンセとドラムはシーケンサー(いわゆる打ち込み)で、
ボーカルの女の子がいて、
私はギターをギュワンギュワン鳴らしている、という・・・
コンセプトは「もしジミヘンの時代にテクノがあったら」というものでした(笑)
そのリハーサルのときです。
私のギターがキーーーーーンというハウリングを起こすんです。
アマチュアだけのライブなら、それでもお構いなしなんですが、
当時、夕涼みコンサートはDateFM主催で、夜はプロのアーティストの本格的なライブ。
だから夕方のアマチュアの部も、PA(音響)や照明はプロ仕様なんですね。
そんなプロの音作りの場に、
さっきから私のキーーーーーン!が止まらないわけですよ(泣)
コワモテのPAのおじさんが、顔をしかめてる!
(やばいよやばいよ~、
朝からアシスタントがめっちゃ怒鳴られてたし。
早くこれ止めないと絶対怒られ)キーーーーーン!!
恐る恐る言ってみました。
「あの~、ちょっとギターのゲイン下げましょうか?」
すると、コワモテのPAさんが
「いや待って。
そこ下げると、君のキラキラしたところがなくなるから。
こっちで何とかするよ。大丈夫」
えっ? 優しい・・・
コワモテなのに(笑)
結果、本番では
ハウリングを起こすか起こさないかギリギリの
エッジの立った音でプレイすることができました。
おじさんに言われた通り「キラキラ」しましたよ!
プロの仕事って、こういうことかぁ。。。
いくつもの事情の板挟みになったとき、
手前で丸く収めるのではなく、突き抜けて成功させる。
音楽をやっていて一番役に立った学びはこれだったんじゃないかな?
まあ、いまでも丸く収まって失敗することは多々ありますが(笑)
でも仕事で「丸く収めず、突き抜ける」という選択をする人に会うと、
「だよね? やっぱりそっち選ぶよね?」と
共通言語を持ったような嬉しい感覚になります。
シリーズ累計25万部のベストセラー参考書「何を書けばいいかわからない人のための 小論文のオキテ55」の著者。代々木ゼミナール小論文講師を経て、現在は文章力トレーニングの専門家として大手企業の社員研修に多数登壇。合同会社ロジカルライティング研究室代表。