「あなたの話には“主語”がない」と指摘される人、よくいます。
文法的には「主語」じゃないんですけどね。
何についての話題なのかが抜けているんです。
〈ケース1〉
「聞いてくださいよぉ、お客様にすっごい叱られちゃったんですぅ」
「それヤバイじゃん! 店長に報告した?」
「あ、学生時代のバイトで・・・」
「あんたの話には主語がないのよーー!」
たぶん、仕事の合間に昔のことをぼーっと思い出して
頭の中で再現ドラマを反芻していて、
ふと、隣にいた同僚に再現ドラマの途中から話し始めたんでしょうね。
〈ケース2〉
「部長、きのう◯◯工業さんから見積もりが上がってきたんですが、当初の仕様だと現在の設備では難しいということです。いまの予算で仕様を考え直すか、最初の案を通してコストが上がるかという話なんですが、技術的なことをじっくり詰めれば対処のしようもあるかと思って、明日から工場のある北海道に行って直接話してきてもよろしいでしょうか?
「え? あ、ん? 何の話?」
「ですから、明日から北海道に行ってきます」
「有給取りたいの?」
上司がうわの空で話を聞いていなかったわけですが、
この場合も「おまえの報告には主語がない!」と怒られるんですよね(笑)
人は何かやっているときに横から話しかけられても耳に入ってきません。
「部長、ご報告があるのですが、いまよろしいでしょうか?」くらい言って、
相手がこっちを向いて聞く姿勢になってから話しましょう。
「アテンション・プリーズ!」ってやつです。
「あなたの話には主語がない!」と指摘されるのは
文字通りの「主語」がないからではありません。
「いま何の話をしているのか」が抜けている(あるいは伝わっていない)んですね。
「部長、出張の申請をさせていただいてよろしいでしょうか?」
ここからです。何の話かを最初に伝えましょう。
「主語がない」と言われたからといって、主語を足しただけではダメですよ。
「わたしは、きのう〇〇工業さんから見積もりをいただいたんですが・・・」
「ビジネス国語」によって職場の諸問題を解決する研修講師。
就職試験の論文をほぼ白紙で提出し3社連続で落とされたのをきっかけに論文試験の攻略法を研究。誰でも書ける独自のメソッドを開発した結果、大手大学受験予備校の小論文講師に抜擢される。参考書「何を書けばいいかわからない人のための小論文のオキテ55」はシリーズ累計25万部のベストセラーに。
その後、所属予備校が業界最大手から陥落し全国の校舎を閉鎖、自身もリストラされる怒涛の数年間を経験。意思疎通のエラーで混乱していく組織を詳細に観察し「ビジネス国語」を体系化する。独立後は社会人教育に転身し、大手企業の社員研修に多数登壇。受講者との軽妙なやり取りは「研修というより、めちゃくちゃ役に立つエンタメ」と評される。
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