「筋道立てて説明すると『さっさと結論言え!』と叱られて、
先に結論を言うと『ちゃんと説明しなきゃわからん!』と叱られるんです。
どうしたらいいんでしょう??」
セミナーでそんな相談をされました。
「口紅指数(リップスティックインデックス)」の話をしたときです。
「不景気になると、ブランド物の口紅が売れるようになります」
「は? どういうこと?」
このときの「どういうこと?」は「納得いかない」という意味です。
不景気で「売れない」ならわかるけど「売れる」って、おかしくない?
しかもブランド物の口紅に限定する必要ある?
デタラメ言ってない???
と、不信感が募るんですね。
「不景気になると、
効果なバッグや洋服は買えなくなるので、
手頃な口紅でプチ贅沢を楽しむ人が増えるんです」
これなら納得してもらえるでしょう。
【不景気→( )→口紅が売れる】
この途中の因果関係が抜けていると、聞いている方は納得いかないわけです。
機嫌の悪いときだと、「ちゃんと説明せい!」と叱られるわけです。
かといって途中経過からしゃべり始めると、今度は「さっさと結論を言え!」と叱られるんですよね。
こういうときは、一言加えるといいんです。
「不景気になると、“結果的に” 口紅が売れるんですよ」
“結果的に” が加わると、ちゃんと筋道がありそうに聞こえます。
意外な結論にも、意味がありそうな気がします。
「◯◯すると、“結果的に” △△になるんです」
結論を先に言うときの安全パターンです。
ちなみに、
「途中が省略されて意味不明」というのを
逆に利用しているのがNHKの「チコちゃんに叱られる!」です。
「日本の道路が左側通行なのはなぜ?」に対するチコちゃんの答えが
「殺し合いになるから」。
はあ? となりますけど、
そのあとVTRを見るとみんな納得するんですよね。
(武士がすれ違うときに左に差した刀同士がぶつかると喧嘩になるため、江戸時代から左側通行がルールになっていたそうです)
チコちゃんが途中をすっ飛ばした結論を言っても叱られないのは
そのあとのVTRで謎を解いてくれると認識されているからです。
「◯◯すると、“結果的に” △△になるんです」
結論を先に伝えるときは、この話法を用いましょう。
チコちゃんのように愛される報連相ができる・・・んじゃないかと思います。
合同会社ロジカルライティング研究室 代表
ベストセラー参考書「小論文のオキテ55」シリーズ著者
就職試験の論文をほぼ白紙で提出し3社連続で落とされた敗北感をきっかけに論文試験の攻略法を研究。誰でも書ける独自のメソッドを開発した結果、大手大学受験予備校の小論文講師に抜擢され、NHKの教育バラエティ「テストの花道」にも出演。参考書「何を書けばいいかわからない人のための小論文のオキテ55」はシリーズ累計25万部のベストセラーとなる。
現在は社会人教育に転身し、製造、IT、建設、エネルギー業界を中心に大手企業60社以上の社員教育に携わる。「受講した翌日、契約が取れた」「険悪だったリームの雰囲気が変わった」など即効性のあるノウハウが支持される。
「世のつまらねえ研修を撲滅し、楽しく学べて役に立つ魔法に変える」がモットー。