小学校の作文は、自分の体験を書くもの。
高校生の小論文は、社会の問題を客観的に論じるもの。
では、中学生の作文は???
というわけで、
高校入試の200字作文と大学入試の小論文を比較してみました。
ソースは旺文社の2冊。
「2022年受験用 全国高校入試問題正解 国語」から、2021年春に200字程度の作文が出された45校。
「全国大学小論文入試出題内容5か年ダイジェスト」から、2019年の国公立大学前期・後期で出題された1024問。
チェックポイントは、とりあえず今回は2つです。
1 体験談は求められるか?
2 短文テーマ型と課題文・資料型の割合
それでは、レッツゴー!
【1 体験談は求められるか?】
大学入試の小論文で「あなたの体験を踏まえて」という条件があるのは1024問のうち22問、たった2%です。
しかも22問中、看護系学部が8問、芸術系学部が8問と偏りが見られます。
これに対し高校入試の200字作文で「あなたの体験から」あるいは「日常生活での例を挙げて」という条件がついているのは45校中17校、38%でした。
約4割は小学生と同様に体験談を求めていて、約6割は個人的体験から離れて客観的に論じることが求められます。
小学校と高校の中間といったところでしょうか。
【2 短文テーマ型と課題文・資料型の割合】
高校入試の作文といえば「『やさしさ』について」みたいな短文型ばかりだったようなイメージがあるのですが(青森県だけですか?)、
実際はどうなんでしょう?
高校入試での短文型の出題は、45校のうち秋田県と栃木県の2つだけ。4%でした。
あとの96%は、ちょっとした対話文やグラフなどの資料が出されたり、論説文の最後の設問に作文が出されたりという形式です。
大学入試での短文型の出題は1024問のうち53問、5%です。
出題形式は高校入試も大学入試にかなり近くなっているといえそうです。
ちなみに、
「◯◯について、あなたの体験を踏まえて述べよ」という
短文型&体験談という出題は
都道府県立高校でも国公立大学でも、ゼロでした。
(私立大学まで探したら東海大学体育学部で1問見つかりましたが)
【結論】
体験談が求められるのは高校入試で38%、大学入試はたった2%。
短文型の出題は高校入試4%、大学入試も5%。
こうしてみると、小論文の練習方法を見直す必要が出てきそうです。
「環境問題について」みたいな短文型で、自分の体験談を書く練習はムダです!!
まず、課題文や資料を読む力を鍛える必要があります。
個人的な体験談ではなく、客観的な議論をする必要があります。
根拠として挙げるのは報道などで一般の人も知っている事例が望ましいわけです。
学校での作文・小論文指導の参考にしてください。
〈メルマガ【論文アカデミー】2021.8.17 Vol.023〉
「ビジネス国語」によって職場の諸問題を解決する研修講師。
就職試験の論文をほぼ白紙で提出し3社連続で落とされたのをきっかけに論文試験の攻略法を研究。誰でも書ける独自のメソッドを開発した結果、大手大学受験予備校の小論文講師に抜擢される。参考書「何を書けばいいかわからない人のための小論文のオキテ55」はシリーズ累計25万部のベストセラーに。
その後、所属予備校が業界最大手から陥落し全国の校舎を閉鎖、自身もリストラされる怒涛の数年間を経験。意思疎通のエラーで混乱していく組織を詳細に観察し「ビジネス国語」を体系化する。独立後は社会人教育に転身し、大手企業の社員研修に多数登壇。受講者との軽妙なやり取りは「研修というより、めちゃくちゃ役に立つエンタメ」と評される。
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