「お客様の前だと、カタくなってしまうんです」
「営業なのに、話すのが苦手なんです」
営業職の方からときどき相談されます。
「どうすればこんな自分を変えられるでしょうか?」というニュアンスで。
ところが、そんな相談を私に話している様子からは「カタい」とも「話し下手」とも思えないんですよね。いたって普通。
私と話すときは自然なのに営業先で自然じゃなくなるということは、原因はご本人ではなく営業先にあるんじゃないですかね?
そう思っていろいろ伺ってみると、やっぱりそうでした。
「仕事ください営業」をしているんです。
話し方とか振る舞い方というのは相手との力関係に左右されます。
「お願いですから仕事ください」的な営業をしてしまうと、その時点で自分を下に位置づけてしまうわけです。
で、いろいろ気を遣いながら、遠慮しながら、防御しながら話すので不自然になってしまう。。。
この状況で「自然な話し方」を演じるのは相当なエネルギーを要します。というか無駄な努力に終わります。
あがり症とか対人恐怖症といった、メンタルの問題ではないんです。
営業先との力関係、上下関係という仕組みの問題なんです。
なので、営業先との関係を変えましょう。
少なくとも対等な関係を築きましょう。
人はモノを与えた側が上に立つもの。
「仕事ください」と言ったら下になるのです。
だったら、何か与える側になればいい。
たとえば「情報」。
業界の最新情報とか、裏情報、ライバル企業の動向などを小出しにすれば、
「お仕事もらいに来る人」ではなく「役に立つ情報をくれる人」になります。
すると先方の態度が変わります。
いままでシッシッと追い返されていたのが、お茶を出されて引き止められるようになります。
こうなれば、もうビビることも緊張することもないですよね。
普段の自然な話し方ができるようになります。
情報を与えて主導権を握る。
メンタルを鍛えたり愛想笑いの練習をしたりするよりも、
相手との力関係(仕組み)を変える方が先というお話でした。
「ビジネス国語」によって職場の諸問題を解決する研修講師。
就職試験の論文をほぼ白紙で提出し3社連続で落とされたのをきっかけに論文試験の攻略法を研究。誰でも書ける独自のメソッドを開発した結果、大手大学受験予備校の小論文講師に抜擢される。参考書「何を書けばいいかわからない人のための小論文のオキテ55」はシリーズ累計25万部のベストセラーに。
その後、所属予備校が業界最大手から陥落し全国の校舎を閉鎖、自身もリストラされる怒涛の数年間を経験。意思疎通のエラーで混乱していく組織を詳細に観察し「ビジネス国語」を体系化する。独立後は社会人教育に転身し、大手企業の社員研修に多数登壇。受講者との軽妙なやり取りは「研修というより、めちゃくちゃ役に立つエンタメ」と評される。
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