いよいよ4月21日は特別区職員採用試験の一次試験ですね!

論文試験の対策、やってなかった!
1000〜1500字って、どう書けばいいの?

地方在住なんで、東京23区の政策とか全然知らないんですぅ。。。

そんなみなさんのために、特別区の論文対策をチャチャッと説明しましょう。

一夜漬け上等!!

特別区の論文試験 その特徴は?

まずは2023年の問題を見てみましょう。


 スマートフォン等の情報通信機器の普及に伴い、区民生活のデジタル化が進む中で、行政の情報発信のあり方にも変化が求められています。
 特別区においても、デジタル・デバイドの解消を推進する一方で、今後の社会の担い手となる、10代・20代を中心とした若年層について、その情報収集手段や価値観、生活環境を理解した上で情報発信を行う必要があります。また、行政活動である以上、効果検証や継続性の視点も重要です。
 このような状況を踏まえ、若年層に伝わりやすい行政情報の発信について、特別区の職員としてどのように取り組むべきか、あなたの考えを論じなさい。


 我が国では、少子化を背景とした人口の減少傾向や、高齢化の更なる進展等による経済社会への影響が懸念されている中で、社会経済活動の維持に向けた新たな人材の確保という課題が生じています。
 こうした課題に対して、特別区では少子化対策等の長期的な取組に加え、当面の生産年齢人口の減少に伴う地域活動の担い手不足の解消等の対策が早急に求められています。
 このような状況を踏まえ、人口減少下における人材活用について、特別区の職員としてどのように取り組むべきか、あなたの考えを論じなさい。

特別区の論文試験には3つの特徴があります。

  • 2題のうち1題だけ選ぶ
  • 問題文がちょっと長い
  • 字数は1000字から1500字程度、解答時間は1時間20分

なぜ「2題から1題選択」なのか?

公務員試験の中でも「2題から1題を選んで解答」というのは特別区だけの特徴です。

なぜこんな形式なのかという歴史的な経緯については別の記事に回すとして、

ここ数年の傾向として「行政側の問題」と「社会の問題」の組み合わせになっていることは押さえておきましょう。

2023年
1 若年層に伝わりやすい行政情報の発信について
2 人口減少下における人材活用について

2022年
1 限られた行政資源による区政運営について
2 地域コミュニティの活性化について

2021年
1 区民ニーズに即した魅力的な公共施設のあり方について
2 ゴミの縮減と資源リサイクルの推進について

2020年
1 先端技術を活用した区民サービスの向上について
2 都市における地域の防災力強化について

ホントだ! 1が区役所の内部事情、2が区民や民間に関係する話ですね

どっちを選ぶべき?

この2題、どちらを選んだら評価が高いか、なんてことはありません。自由です。

ただ、他の自治体からの転職組の人は行政の問題について詳しく書けるかもしれません。

もともと民間の就活を考えていて、急に公務員に切り替えたという人は社会問題の方が楽かもしれません。

いずれにせよ、2題を見比べて得意な方で勝負しましょう。

1000〜1500字をどう埋める?

特別区の論文は「1000字以上1500字程度」という字数規定です。

間をとって「1200字」を目安にするといいでしょう。

初心者には難しい「取り組みを並べて1000字」

設問が「◯◯について、特別区の職員としてどのように取り組むべきか」なので、ついついこんな書き方をしたくなります。

 私が特別区の職員になったら、若年層に伝わりやすい行政情報を発信するために以下のことに取り組みたい。
 第一に、若者たちの情報収集手段や価値観、生活環境を理解することである。区民に対しアンケートを行い・・・
 そして第二に、SNSを駆使することである。いまの若者はLINE、X(旧Twitter)、Instagram、TikTokなど多様なツールでコミュニケーションをしている。そこで・・・
 また第三に、WEBマーケティングの民間事業者やインフルエンサーに依頼して、いわゆる「バズるコンテンツ」を発信することだ。
 さらに第四として・・・

これ自体、文章としては悪くないのですが・・・

この構成で1000字以上埋めるのは、あまり現実的ではありません。

予備校の「模範解答」にこのタイプの答案が多いのは、知識の豊富なプロの先生が書いているからです。

初心者が真似するのはちょっと難しいでしょう。

それに、後述しますがこの「取り組み羅列型」はある重要なことを書き忘れがちなんです。

理想の段落構成

公務員試験の論文は「三段落構成で書く」と覚えておきましょう。

1段落目(問題提起)
特別区がそれに取り組む必要性。誰がどう困っているのか。400字

2段落目(原因分析)
なぜうまくいっていないのか。何が実現や改善を妨げているのか。400字

3段落目(解決策)
特別区は何をするべきか。400字

「1500字を埋める」と考えると気が遠くなりますが、「400字」なら頑張れば書けそうです。それを3つ並べれば合計1200字。十分な字数になります。

その「400字」には何を書けばいいの??

各段落の400字に何を書くか。

そのヒントは「問題文の読み方」にあるんです。

書くべき内容が見つかる「魔法の言葉」

もう一度、2023年の1問目を見てみましょう。


 スマートフォン等の情報通信機器の普及に伴い、区民生活のデジタル化が進む中で、行政の情報発信のあり方にも変化が求められています。
 特別区においても、デジタル・デバイドの解消を推進する一方で、今後の社会の担い手となる、10代・20代を中心とした若年層について、その情報収集手段や価値観、生活環境を理解した上で情報発信を行う必要があります。また、行政活動である以上、効果検証や継続性の視点も重要です。
 このような状況を踏まえ、若年層に伝わりやすい行政情報の発信について、特別区の職員としてどのように取り組むべきか、あなたの考えを論じなさい。

問題文を読むとき、出題意図を見抜くための「魔法の言葉」があります。

「それ、行政がやる必要ある?」

えっ? 出題を否定して大丈夫?

「それ、行政がやる必要ある?」

否定ではありません。問いかけです。

それ、行政がやる必要ある?

SNSなんて若者たちに勝手にやらせておけばいいじゃないか。

東京23区の観光情報やイベント案内もインスタで勝手に拡散してくれるし。

行政がやらなくてもよくね?

魔法の言葉というより、悪魔のささやきでは?

さあ、これに反論してください。

行政がやらなければならない行政情報の発信とは何でしょう?

えーと、
防災や治安に関する情報は区民の命に関わりますよね。
あと、地方から引っ越してきた若者はゴミ出しのルールなどの生活情報が欲しいかも。

詐欺や消費者トラブルに遭ったとき、相談できると安心ですね。
若い女性は妊娠や出産に関する情報もあると助かります。

お、内容が深くなりましたね。イベント情報などよりもずっと大事な、区民の生命や財産に関わる情報こそしっかり届ける必要があります。

それ、行政じゃなきゃダメ?
ググったり、Q&Aサイトに相談すれば?

いやダメですよ! ネットは嘘や間違いも多いし。
トイレ修理の業者を検索で見つけたら「ぼったくり」に遭った、なんて話も聞きます。

はい! ここまでの対話で
「情報を得られないと誰がどう困るのか」と
「特別区(行政)が情報発信する必要性」
が具体的になりました!

お疲れさまでーす!

これが論文の出発点です。必要性を明らかにするからこそ、その政策に税金を投じる意味があるわけです。

1段落目はこれで400字書きましょう。

前述の「いきなり取り組み羅列」答案が見落としがちなのが、この「取り組む意義」の説明なんです。

「ぶっちゃけ、失敗してるでしょ?」

2段落目は「原因分析」。ここで、もう一つの「魔法の言葉」を紹介します。

「ぶっちゃけ、失敗してるでしょ?」

また出た! 行政批判!

何度も言いますが、批判ではなく問いかけです。

ぶっちゃけ、行政の情報発信なんてスベってるでしょ?

自治体からのLINEやメールなんて、みんな未読スルーかブロックしちゃってない?

たしかに・・・みんながTikTokにハマるほど行政の情報が大好きかといったら、そんなことはないかも。

コロナ禍でワクチンのために登録したけど、正直いまはブロックしてます。だって、あんまり興味ない情報ばかり流れてくるんで。

人間って勝手なもので、困っていないときに一方的に流れてくるとウザいと思っちゃうんですよね。
で、いざ必要なときになると、行政が情報発信していることを忘れてネットで情報を探してしまう(テヘッ)

行政に限らず、ネタ切れで更新や配信が続かなくなることってありますよねww

はい! ここまでで
「行政の情報発信がうまくいっていない現状」と
「若者が行政情報をスルーする理由」が具体的になりました。

この内容で400字書きましょう!

何度も言いますが、これは批判ではなく問いかけです。

そもそも行政の情報発信がうまくいっているなら、「あなたの考え」を求める必要がありません。

論文に出題されるということは「行政もうまくいかず困っている」ということです。

残り400字で解決策の提案

問題提起と原因がはっきりすると、解決策の方向性も決まってきます。

若者が「自分のこと」と思えるような情報が必要ですね。
たとえば「こんなときどうする?」みたいな身近な疑問や質問のQ&Aとか。

実際に窓口であった質問とか、コメントに寄せられた相談に答える形にすれば、ネタ切れになることもなく「継続性」はクリアできますね。

「効果検証」のために、閲覧数やリンクのクリック数なども測定して、もっと見てもらえるように改善することも必要だと思います。いわゆる「PDCA」ってやつですね。

はい! これで解決策も400字書けそうですね!

う、うむ・・・悪魔の出る幕がないではないか。
おまえたち、成長したな。

まとめ

公務員試験の論文の攻略法、それは問題文に対して「悪魔の問いかけ」をすることです。

それ、行政がやる必要ある?

ぶっちゃけ、失敗してるでしょ?

(もちろん心の中で思うだけですよ! 答案に「失敗してるっしょww」なんて書いてはいけませんよ!)

みなさんの検討を祈ります!

特別区2023年の2題目の解説はこちら!

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