新入社員研修のシーズンです。
社内研修では、
受講者の席に各自手書きの名札が置いてあったりします。
それぞれ字の癖というものがありますね。
筆跡診断によると(って私も詳しいわけではないんですが、過去に診てもらったときに言われたことを受け売りすると)
一画一画がきっちりつながっている人は几帳面で
線が離れている人はズボラとか、
枠に対して文字が小さい人は消極的で
ハネが大きい人は自己主張が強いとか、
枠の幅に対し均等に文字が並ぶ人は計画的とか、
「口」の右上の角が丸い人はルールを守らないとか(私です)、
「木」の右下払いが字の左側からスタートして真ん中の線を横切っている人は白黒はっきりさせたがる人、あるいは「刃物運」がある人とか(私です)。
もちろん諸説ありますが、
そんな目で、受講者の手書き名札を見ると面白いんですよ。
たしかに、当たってる。
ある企業様の新入社員研修(受講者20名)で、
1人を除いて、全員小さめのきちんとした字で書かれていたことがあったんです。
研修を始めていろいろやりとりしていると、
みんな真面目。いわゆる優等生が集まっていました。
そんな中で1人だけ、すべての線が離れている受講者がいたんです。
字も大きくて、豪胆な感じの。
私の研修では、「夏休みの宿題をいつやったか?」という質問をすることがあります。
「PDCA」に関連して、人間は計画性のない生き物だという話をしたくて。
小学生って、夏休みの宿題を計画的に早めに終わらせてから遊ぶ子と
後回しにし続けて、夏休みの最終日に泣きながらやっつける子に分かれます。
「計画的に終わらせた」と手を挙げる率は
一般の民間企業では1〜2割、
公務員と銀行員は5〜6割になることが多いですね。
で、今回も同じ質問をしてみました。
すると、「計画的に終わらせた」が20名中13名。
「後回しにした」が20名中6名。
あれ? 1名足りない。
あの豪放な字を書いていた彼が、どちらにも手を挙げていないんです。
「どっちでもないって、どういうこと?」
「宿題、出さなかったんで」
そっちかー!(笑)
この真面目っ子集団では、明らかに異端児です。
あとで人事の方が彼について話していました。
「あの子ねえ、一番心配ですよぉ。どうなっちゃいますかねえ?」
でも彼のようなタイプが1人いるだけで
新しい風を(というか嵐を)呼び込んでくれそうですし、
何より彼が上司になったら、部下ものびのび仕事できそうな気がします。
どういう経緯で採用されたのかはわかりませんが、
その辺を狙って1人だけ採用したのなら、巧みな人選ですよね。
今年もまたお邪魔するので、
彼がその後どうなったか、ウォッチしてこようと思います。
合同会社ロジカルライティング研究室 代表
ベストセラー参考書「小論文のオキテ55」シリーズ著者
就職試験の論文をほぼ白紙で提出し3社連続で落とされた敗北感をきっかけに論文試験の攻略法を研究。誰でも書ける独自のメソッドを開発した結果、大手大学受験予備校の小論文講師に抜擢され、NHKの教育バラエティ「テストの花道」にも出演。参考書「何を書けばいいかわからない人のための小論文のオキテ55」はシリーズ累計25万部のベストセラーとなる。
現在は社会人教育に転身し、製造、IT、建設、エネルギー業界を中心に大手企業60社以上の社員教育に携わる。「受講した翌日、契約が取れた」「険悪だったリームの雰囲気が変わった」など即効性のあるノウハウが支持される。
「世のつまらねえ研修を撲滅し、楽しく学べて役に立つ魔法に変える」がモットー。