デパートに子供服を買いに行ったときです。
ミキハウスの売り場で店員さんに相談すると、
「うちではそういう感じのはご用意がないんです……。でも、
ファミリアさんだったらあるかもしれません」
その店員さん、ファミリアの売り場まで連れて行ってくれました。
さすがです。
次に買うときも、とりあえずミキハウスに来てこの人に相談しようと思いました。
一方、ハンバーガーショップでこんなことも。
店に来たおばあさんが、注文してお金を払うとき、
「ウェットティッシュないかしら?」
「えーと、ウェットティッシュはないんです。すみません」
……終了。
店の入口の横に手洗い場があるのに!
ウェットティッシュが欲しいということは「手を洗いたい」ということなのに!
「手洗い場ならそちらをご利用ください」と一言添えればいいのに!
「否定語で終わらず、肯定語で締める」これは説明の基本です。
「ここにはない」で終わらず「△△にはある」まで加える。
「◯◯するな」で終わらず「△△してほしい」まで加える。
否定語だけで終わると、ではどうすればいいのかわかりません。
肯定語で言われると、人は行動することができます。
バスの中のアナウンスといえば「走行中は席を立たないでください」という否定語でしたが、
それでも乗客はバス停に停まる直前に立ち上がります。
早く降り口まで行かないと、バスが発車してしまうかもという不安があるからです。
特に歩くのが遅いお年寄りは気が焦るので走行中でも立ち上がります。
で、ブレーキでよろける。危険です。
最近、一部のバスではアナウンスが変わってきました。
「バスが停車してから席をお立ちください」
これならゆっくり待ってくれそうな気がしますね。
人を動かしたいなら、否定語ではなく肯定語。
「◯◯するな」ではなく「△△してください」。
ロジカルコミュニケーションの基本です。
「ビジネス国語」によって職場の諸問題を解決する研修講師。
就職試験の論文をほぼ白紙で提出し3社連続で落とされたのをきっかけに論文試験の攻略法を研究。誰でも書ける独自のメソッドを開発した結果、大手大学受験予備校の小論文講師に抜擢される。参考書「何を書けばいいかわからない人のための小論文のオキテ55」はシリーズ累計25万部のベストセラーに。
その後、所属予備校が業界最大手から陥落し全国の校舎を閉鎖、自身もリストラされる怒涛の数年間を経験。意思疎通のエラーで混乱していく組織を詳細に観察し「ビジネス国語」を体系化する。独立後は社会人教育に転身し、大手企業の社員研修に多数登壇。受講者との軽妙なやり取りは「研修というより、めちゃくちゃ役に立つエンタメ」と評される。
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