ロジカルコミュニケーション・コンサルタントの鈴木鋭智です。
「身の回りのちょっとした問題を挙げてみよう」というワークをやると、
若手社員に多いのが
「携帯料金が高いのが問題だ」
「車検代が高いのが問題だ」
という、お金の悩みです。
たしかに若手社員の給料でスマホの通信料や車の維持費を捻出するのは大変かもしれません。
しかし、このままで解決策を考えさせると大抵このようになります。
「携帯料金が高いのが問題だ。だから格安SIMを検討しよう」
「車検代が高いのが問題だ。だから軽自動車に換えよう」
一見「解決策(というか節約)」にはなっています。
でも、それが「ベストな解決策」でしょうか?
こういう解決策ばかりやっていると、「しみったれた生活」になっていきません?
「楽しさ」や「快適さ」を犠牲にして、「お金を使わないこと」が人生の目標になってしまっていませんか?
ちょっと考えるベクトルを変えてみましょう。
そもそも値段が「高い/安い」というのは何で判断されるものでしょう?
本人の収入によっても感じ方は違うでしょうし、スマホやマイカーを持つ以前の生活と比べて「高い」と感じているかもしれません。
そうです。「高い/安い」というのは「気分」なのです。
人によって、状況によって変わる「気分」で問題提起しているため、「節約しよう」という月並みな結論に落ち着いてしまったのです。
ミニマル思考の基本「気分を事実に置き換える」。
「高い/安い」という気分を目に見える事実、あるいは数字に置き換えましょう。
たとえば、
「携帯料金を払ったために買えなかったもの」というのもあります。
「収入のうち、携帯料金と車検代が占める割合」も数字ですね。
あるいは、こういうのはどうでしょう?
「その料金を払うことによって、いくらの利益が得られるか」
いわゆる「投資利益率」です。
投資利益率=利益÷投資額
正確に数値化しなくても構いません。ビジネスではなく私生活の話ですから「プライスレスな価値」もあるでしょう。
「使い放題プランにしていたおかげで、遠距離の彼氏と毎日テレビ電話できた」
「最新のスマホにしていたおかげで、出先で急に必要になったデータの編集にも対応できた」
「この車だったから、素敵なドライブの思い出ができた」
「いいクルマに乗っているという優越感で、普段の振る舞いにも余裕とオーラを醸し出すことができた」
などなど。
問題は、これらのリターンが投資額に対して割のいいものであるかどうかです。
こう考えると、いままで「問題」だと思っていた携帯料金や車検代が、実はリターンの多い投資だったことに気づくかもしれません(この場合、節約してリターンまで減らしてはいけません)。
逆に、やっぱりリターンの少ない「浪費」だったという場合もあるでしょう。
いずれにしても、解決策は「節約」だけではありません。
「利益(リターン)を増やす工夫」という解決策も考えられます。
「いまの料金プランで、もっと幸せな体験はできないか?」
「このスマホで、もっと稼ぐ方法はないか?」
「この車に乗り続けて、もっと大きく成功することはできないか?」
節約で毎日の生活が縮小していくより、ずっとクールではありませんか?
合同会社ロジカルライティング研究室 代表
ベストセラー参考書「小論文のオキテ55」シリーズ著者
就職試験の論文をほぼ白紙で提出し3社連続で落とされた敗北感をきっかけに論文試験の攻略法を研究。誰でも書ける独自のメソッドを開発した結果、大手大学受験予備校の小論文講師に抜擢され、NHKの教育バラエティ「テストの花道」にも出演。参考書「何を書けばいいかわからない人のための小論文のオキテ55」はシリーズ累計25万部のベストセラーとなる。
現在は社会人教育に転身し、製造、IT、建設、エネルギー業界を中心に大手企業60社以上の社員教育に携わる。「受講した翌日、契約が取れた」「険悪だったリームの雰囲気が変わった」など即効性のあるノウハウが支持される。
「世のつまらねえ研修を撲滅し、楽しく学べて役に立つ魔法に変える」がモットー。