私のロジカルライティング研修では
「身の回り、または社会の問題を挙げて、それに対する解決策を述べなさい」
という課題をよく出します。
書き方というより、論点の整理法を学ぶワークです。
これが一番難易度が高いというか・・・
ルールを聞くと簡単なのに、自分の頭を切り替えるのが難しいんです。
〈外国人に対する偏見が問題だ。学校で多様性を教育するべきだ〉
「生徒がちゃんと先生の話を聞いてくれたとして、
その子たちが大きくなって社会の多数派になるまで何十年かかる?」
というツッコミも可能なんですが、
今回は敢えて、違う角度からのツッコミを。
「ところで偏見って、問題ですか?」
「えっ?・・・」
「実害ベースで考える」というのを理解してほしかったんですよ。
心の中で外国人を嫌うこと自体は、誰にも迷惑かけていません。
「◯◯人は△△だからww」と言ってからかわれたら、
言われてムカつく人も、笑って済ませる人もいるでしょう。
人によって受け取り方が違うのは、実害がないからです。
ここは賛否が分かれますね(笑)
「実害がないといっても、差別発言はダメでしょ!キーッ!!」
PC(political correctness、ポリコレ)的にはNGかもしれませんが、
「ムカつく人」と「笑って済む人」に分かれる程度のことを問題提起しても
半分の人には説得力を持たないんです。
「外国人の客だと扱いが雑になる」というのは、程度によりますね。
イタリアで日本人男性が1人でレストランに入ると、
隅の方とかトイレの近くとか、明らかに格下の席に通されたりします(笑)
でも、正規の料金を払ってちゃんと食事ができたら、「実害」とはいえません。
気に入らなかったらチップを払わなきゃいいだけです。
実害といえるのは
言葉が通じないのをいいことにボラれたとか
暴力を振るわれたとか
虚偽の情報を広められて暴力の対象にされたとかのレベルです。
こうなると
犯罪行為から身を守るにはどうするか、
過激な人間が徒党を組むのを防ぐにはどうするか、
という具体的な対策の議論になりますね。
もはや「学校で教育しよう」なんて話ではなくなるんです。
心の中で何を考えていても、それは自由。
実害を及ぼす行動こそが問題。
常識とか道徳とかポリコレとかから離れて
「実害がある/ない」で物事を見てみましょう。
「ライティング」からは脱線しているように見えますが、
説得力のある文章を書くためには
「論点整理の基準」は必須項目なんです。
<メルマガ【ミニマル思考カフェ】2019.4.21 Vol.0236より転載>
合同会社ロジカルライティング研究室 代表
ベストセラー参考書「小論文のオキテ55」シリーズ著者
就職試験の論文をほぼ白紙で提出し3社連続で落とされた敗北感をきっかけに論文試験の攻略法を研究。誰でも書ける独自のメソッドを開発した結果、大手大学受験予備校の小論文講師に抜擢され、NHKの教育バラエティ「テストの花道」にも出演。参考書「何を書けばいいかわからない人のための小論文のオキテ55」はシリーズ累計25万部のベストセラーとなる。
現在は社会人教育に転身し、製造、IT、建設、エネルギー業界を中心に大手企業60社以上の社員教育に携わる。「受講した翌日、契約が取れた」「険悪だったリームの雰囲気が変わった」など即効性のあるノウハウが支持される。
「世のつまらねえ研修を撲滅し、楽しく学べて役に立つ魔法に変える」がモットー。