以前、PREP法をご紹介しました。
Point 最初に要点
Reason 次にその理由
Example そして具体例
Point 最後に要点をもう一度
文章全体の構成ではなく、一つひとつの段落の中身をこの順番で書くという話です。
ただですね・・・
200字×3段落=600字くらいの答案ならいいんですが、
350字×3段落=1000字以上の小論文になると埋めるのがなかなか大変になります。
どうするか?
1つの段落の中にReasonとExampleを2つ書きましょう。
物事って、1つの理由だけで済むことは少ないものです。
作り手と買い手、国内と国外、デザインと性能・・・裏と表の2面から成り立っているものです。
「2面から考える」という習慣があれば、
段落を埋めやすく、かつ視点を広げることができます。
私の解答例で見てみましょう。
(10年くらい前に書いたものですみません・苦笑)
「学校選択制について、あなたの考えを述べよ」
特別区(東京23区)の職員採用試験で出題されたことのあるテーマです。
従来の学区制か、学区を超えて入学できる学校選択制かという議論ですね。
このようなディベート型のテーマのときはこんな三段落構成で書きましょう。
1 学校選択制のメリット
2 学校選択制のデメリット
3 どうあるべきか
ではまず第1段落「学校選択制のメリット」から。
Point 学校選択制にはメリットがある
Reason1 生徒がより良い教育環境を選べる
Example1 荒れた学校やレベルの低い学校がある
Reason2 公教育全体のレベルが向上する
Example2 評価→競争→改善
ビジネス文書なら「Exampleには実際にあった事実を過去形で書く」と教えるところですが、
試験の小論文では事実関係を調べられないので、一般論の形でも大丈夫ですよ。
次に第2段落「学校選択制のデメリット」
Point 学校選択制にはデメリットもある
Reason1 地域コミュニティが希薄になる
Example1 保護者による登下校の見守りなどの活動
Reason2 学校の格差が固定化
Example2 人気のない学校は停滞する
メリットとデメリットを挙げるときは、主語を変えて考えるのがコツです。
そして第3段落「どうあるべきか」
解決策はPREPをちょっとアレンジした方がいいと思います。
Point 選択の自由は残しつつ、地元の学校を改善しよう
Example1 荒れた学校への対処
Example2 学力差への対処
Point 選択の自由があっても、地元を選ぶようになるだろう
解決策は「大まかな方針→細かい具体策」の順で書くのが試験向きです。
本番で具体的なアイデアが浮かばなかったり、時間切れになることはあります。
でも段落冒頭で大まかな方針を書いていれば合格点もらえますから。
こちらが1000字弱くらいの解答例です↓↓
10年前、まだPREPとか知らない時代に書いたものですが、読み返してみたらほぼPREPでした(笑)
【スッキリ答案】
学校選択制のメリットは、第一に生徒がよりよい教育の場を求めることができること、そして第二に公教育全体のレベルの向上が期待されることである。学区制の場合、学級崩壊やいじめなどの問題の多い学校や、学力レベルの低い学校に入らなければならないことがある。その場合、生徒は安全面や学力面で大きな不利益を被るといえる。よりよい公教育の場を求めるのは住人の権利である。保護者や生徒が評価することによって学校側にも授業内容や校内環境の改善を促すことができる。こうして私立学校や民間企業のように、競争による質の向上が公立学校でも行われるようになるのである。
これに対し学校選択制のデメリットは第一に学校を中心とした地域コミュニティが作られなくなってしまうことである。たとえば保護者による通学路の見守りや横断歩道での誘導は生徒達が同じ学校に向かう学区制だからこそ成立するのであり、学校選択制ではこのような安全を守る仕組みが失われる。そして第二のデメリットは人気のある学校とそうでない学校の格差が広がり固定化されることである。たとえば進学実績や何らかの特色のある学校には生徒が集中する一方、人気のない学校では生徒が少ないために学力の競争が生じなかったり部活動が成立しないなど学校全体が停滞してしまうと考えられる。
したがって、安全に学ぶ権利を守るために学校選択の自由は残しながらも、一方でわざわざ遠方の学校に通わなくても済むように地域内の公立学校自体を改革する必要がある。たとえば学級崩壊やいじめの解決に実績のある教師を中心に生徒指導のエキスパートを養成し、問題の生じた学校には年度の途中からでも赴任させるという柔軟な人事を行えば学校内の秩序を早期に改善することができる。また小中学校でも学力別クラスを導入することにより、同じ学区の中でもより高いレベルの授業を受けることが可能になる。これらの改革によって学校が住民の信頼を回復すれば、学校選択制があっても地元の学校が選ばれるようになると考えられる。
〈メルマガ【論文アカデミー】2021.11.16 Vol.036〉
「ビジネス国語」によって職場の諸問題を解決する研修講師。
就職試験の論文をほぼ白紙で提出し3社連続で落とされたのをきっかけに論文試験の攻略法を研究。誰でも書ける独自のメソッドを開発した結果、大手大学受験予備校の小論文講師に抜擢される。参考書「何を書けばいいかわからない人のための小論文のオキテ55」はシリーズ累計25万部のベストセラーに。
その後、所属予備校が業界最大手から陥落し全国の校舎を閉鎖、自身もリストラされる怒涛の数年間を経験。意思疎通のエラーで混乱していく組織を詳細に観察し「ビジネス国語」を体系化する。独立後は社会人教育に転身し、大手企業の社員研修に多数登壇。受講者との軽妙なやり取りは「研修というより、めちゃくちゃ役に立つエンタメ」と評される。
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