今週末から東京都と特別区の職員採用試験が始まるため、
「駆け込み添削」の依頼がわんさか来ます。
代わりに添削やってくれるAIが欲しい。。。(笑)
多分これ、人工知能には無理な領域なんだと思います。
文法や言葉遣いのミスを直すくらいならWordでもやってくれます。
でも、「こういう変な表現になるのは、実はこれを書きたかったからでしょ?」という間違いの原因を指摘したり、
「第二段落の切り口を◯◯の立場に変えたら、第三段落の提案が活きるのに」という改善策の提案をしたりするのは
人工知能がいくら進歩しても、人間にしかできないようです。
文章の添削って、「間違い探し」ではなく「プロデュース」に近いですから。
いいアドバイスがひらめいた時は快感です。
「次の本でネタにしよう」という実利もあるし。
でも、アドバイスがひらめかないときもあるんです。私のせいなのか答案のせいなのか。。。
こういうときが苦しいので、「添削AIが欲しい」なんて夢に逃避したくなるんでしょうね(笑)
もっとも、その「ひらめかない原因」が見つかった時は、それはそれで快感。
むしろそっちの方が参考書のネタとしては有意義かも。
まあ、当面はAIじゃなくてもいいんですよね。
人間のスタッフを育てれば。
改善のアイデアがひらめく「プロデュース的添削」を再現性のあるメソッドにすればいいんですよ。
というわけで、半年分の答案を振り返りながら「ひらめきのメソッド化」に挑戦中です。
合同会社ロジカルライティング研究室 代表
ベストセラー参考書「小論文のオキテ55」シリーズ著者
就職試験の論文をほぼ白紙で提出し3社連続で落とされた敗北感をきっかけに論文試験の攻略法を研究。誰でも書ける独自のメソッドを開発した結果、大手大学受験予備校の小論文講師に抜擢され、NHKの教育バラエティ「テストの花道」にも出演。参考書「何を書けばいいかわからない人のための小論文のオキテ55」はシリーズ累計25万部のベストセラーとなる。
現在は社会人教育に転身し、製造、IT、建設、エネルギー業界を中心に大手企業60社以上の社員教育に携わる。「受講した翌日、契約が取れた」「険悪だったリームの雰囲気が変わった」など即効性のあるノウハウが支持される。
「世のつまらねえ研修を撲滅し、楽しく学べて役に立つ魔法に変える」がモットー。
「人口減少社会」とは、死亡率が出生率を上回る状態が続き、人口が減少していく社会を指す。日本はまさにその「人口減少社会」に直面しており、特に沖縄では高齢化も進行している。このまま人口減少が進めば、地域の過疎化が深刻化し、地域の活力低下が起こる可能性が高い。さらに、若者の働き手不足が発生し、経済的な悪循環を引き起こす恐れもある。
人口減少の主な原因は「少子化」の進行である。その背景には、仕事と育児の両立の難しさや、養育費・教育費の負担の大きさ、一人親世帯への補助の少なさなどが挙げられる。このような経済的な問題によって、子どもを持つことを諦める家庭も少なくない。
まず、「仕事と育児の両立の難しさ」を解消するためには、職場環境の改善が不可欠である。長時間労働や残業が常態化している職場では、育児との両立は非常に困難である。この課題を解決するためには、リモートワークの導入や、育児中の従業員向けの短時間勤務制度を拡充することが求められる。さらに、保育園の数を増やすことも重要である。多くの地域では保育施設が不足しており、待機児童問題が深刻化している。この問題を解決するために、空き家や空き店舗を活用して小規模保育園を設立することが一つの有効な方策となる。
しかし、保育園の充実には多くの人手が必要である。その人手をどのように確保するかが課題となる。沖縄のように高齢化が進む地域では、元気で働ける高齢者の活用が期待される。高齢者の労働参加を促すためには、労働年齢の引き上げとともに、高齢者が無理なく働ける環境を整備することが必要だ。例えば、保育園においては、読み聞かせや折り紙など身体的負担の少ない活動を高齢者が担当することで、子どもたちとの交流を図ることができる。このような取り組みにより、労働人口の増加が見込まれ、社会全体の収入向上にもつながる。
結果として、少子化対策に必要な資源が確保され、「養育費や教育費の負担の軽減」や「一人親世帯への補助金の増加」といった課題の解決にも貢献できる。
これらの解決策を講じることで、仕事と育児の両立の難しさを改善し、人口減少を防ぐための重要な一歩となるだろう。
いい答案ですね!
1段落目で人口減少を食い止めないと生じうる実害を指摘し、
2段落目でその原因を少子化→3つの具体的要因に深掘りし、
3段落目移行で解決策を提示しています。
基本的な構成はバッチリです☆
強いて言うなら・・・論点ごとの分量のバランスですね。
2段落目の原因では①仕事と育児の両立、②養育費・教育費、③一人親世帯の3つが挙げられています。
ならば3段落目の解決策もこの3点の対策を均等の字数で書くべきです。
ところが3段落目では原因①(仕事と育児の両立)の対策だけで2段落費やしています。
しかも原因①の対策である(1)リモートワーク、(2)短時間勤務制度、(3)保育園の増設の3つのうち、
(3)保育園の補足説明だけ1段落費やしているのも更にアンバランスです。
これに対して原因②養育費・教育費と原因③一人親世帯への対策はたった2行。
この2点に触れないよりはずっといいですが、採点者には「最後に思い出して無理やりつなげた」ような印象を与えてしまいます。
改善案としては、
2段落目と3段落目を1つにまとめて、原因を列挙した上で「中でも課題となるのが保育園の増設である」と論点を絞ってはどうでしょう?
そうすれば、あとは最後まで保育園の高齢者雇用の話で通しても大丈夫です。
論点を3つ挙げるなら3つ均等に書く。
列挙してから1つに絞って詳しく書く。
どちらの書き方もありです。臨機応変に判断してください。