「なんで『受験の専門家』なのにビジネスマンに教えてんの?」
よく聞かれます。
ビジネス書を初めて出版したときも言われました。
「ビジネス書って経営者とかコンサルタントが書くものでしょ? 予備校の先生なのに、何で?」
(当時はまだ代ゼミ講師でした)
自分としては自然な流れだったんですけどね(笑)
代ゼミ時代から自分を「受験のプロ」とか思ったことはなくて、
「ロジックを教える人」という認識だったんです。
たまたま現代文(ロジック)と小論文(問題解決)という2つの科目を担当できたのはラッキーでした。
これがなかったら、自分の得意分野に気づいていなかったかもしれません。
で、
受験の国語よりもロジックが重視されるのが
ビジネスのコミュニケーションで、
受験の小論文よりも実利に直接コミットできるのが
ビジネスの問題解決だったんです。
なので自分としては「ロジックと問題解決」というコアな部分はまったく変わらず、
相手が受験生か社会人かというのは大きな違いではないんですね。
2014年に代ゼミの経営が、まあ、アレになりまして(苦笑)
講師も職員も大慌てで転職先を探し始めたわけですが、
私だけ呑気に構えていられたのは、すでにSMBCビジネスセミナーに登壇していたからです。
もし自分を「受験の専門家」と定義していたら、
同じ予備校業界の中で転職していたと思います。
ギャラも代ゼミ時代の半分以下に下げられて。
(ライバル予備校からみたら、代ゼミの講師を安く買い叩くチャンスですからね)
多分に運とタイミングに助けられてもいますけど、
自分をどう定義するかって、人生を大きく左右します。
ちなみに、代ゼミの職員で私が知る限り一人だけ
転職で成功した人がいます。
彼が選んだのは、映画DVDの字幕翻訳。
某転職エージェントは「予備校職員だから、高校とか大学の職員はどうでしょう?」みたいなベタな提案をしてきたそうです。
それくら転職エージェントじゃなくても言えるだろって感じですが。
でも、彼は「予備校の営業マン」である以前に「海外旅行が大好き」な人だったんです。
「外国大好き!」みたいな衝動があれば、翻訳業の実務的なあれこれなんてすぐにクリアできるんですね。
自分をどう定義するか、大事です。

合同会社ロジカルライティング研究室 代表
ベストセラー参考書「小論文のオキテ55」シリーズ著者
就職試験の論文をほぼ白紙で提出し3社連続で落とされた敗北感をきっかけに論文試験の攻略法を研究。誰でも書ける独自のメソッドを開発した結果、大手大学受験予備校の小論文講師に抜擢され、NHKの教育バラエティ「テストの花道」にも出演。参考書「何を書けばいいかわからない人のための小論文のオキテ55」はシリーズ累計25万部のベストセラーとなる。
現在は社会人教育に転身し、製造、IT、建設、エネルギー業界を中心に大手企業60社以上の社員教育に携わる。「受講した翌日、契約が取れた」「険悪だったリームの雰囲気が変わった」など即効性のあるノウハウが支持される。
「世のつまらねえ研修を撲滅し、楽しく学べて役に立つ魔法に変える」がモットー。