いままで、いろんな人に出会って
いろんなことを教わってきましたが、
必ずしも
いい人、気の合う人、好きな人
とは限らない。というお話です。
大学に入学してすぐ、
本当に相性の悪い男がいました。R君です。
彼はクラスを仕切るのが大好き
飲み会を仕切るのが大好き
みんなで盛り上がるのが大好き
一方、私は
他人に仕切られるの大嫌い
飲み会のノリが大嫌い
みんなでつるむの大嫌い
(それに何かと「俺、東京出身」をひけらかすところも気に入らなかった・笑)
なので、R君とは水と油というか、
合わないを通り越して、一触即発の敵同士(笑)
のちに同じ研究室になったときには
周りの同級生も
「この2人、同じ部屋にいていいのか?」
みたいなピリピリした空気になっていました。
そんなある日、
授業で各自が担当部分について発表するという場がありまして、
文献をまとめるくらいの発表なので、
しかも文系、心理学専攻なので、
多くの人のレジュメは文章メインになるわけですよ。引用とか。
ところがR君のレジュメだけ
キーワードを矢印でつないだだけの
フローチャート(図)だったんです。
へー、物事ってこんなにシンプルに説明できるんだ?!
みんなと全然違うスタイルで発表しても、いいんだ?!
このとき、パカっと蓋を開けられたような気がしました。
現在の私の説明スタイルにものすごく影響していることは言うまでもありません。
それからしばらくして、
教授の退官祝いのパーティーの帰り、
たまたまR君と同じ方向に歩くことになってしまいました。
このときも友人たちは「えっ?」みたいな反応でしたが、
そのころには2人とも人生いろいろあって丸くなったのか、
一触即発という間柄ではなくなっていたんですよ。
その帰り道、酔ったR君が言うんです。
「俺さあ、数字って2から始まると思うんだよ」
は?
「だってさ、ものが1つだったら数える必要ないじゃん。
2つ以上あるから数字が必要になる」
えっ、何こいつ?
ゼロを発明したインド人並みに凄いこと言ってない?!
結局、大学院を出るまで「仲良し」にはなりませんでしたが、
R君のエキセントリックな発想はずっと私の中に残っていて、
彼がいなかったら『小論文のオキテ55』も『ミニマル思考』も書いてなかったかもしれません。
だったら謝辞でお礼くらい書けよって話ですが、
いまどこで何してるか知らないし(笑)
大嫌いだったけど、大きな影響を受けた男の話でした。
「ビジネス国語」によって職場の諸問題を解決する研修講師。
就職試験の論文をほぼ白紙で提出し3社連続で落とされたのをきっかけに論文試験の攻略法を研究。誰でも書ける独自のメソッドを開発した結果、大手大学受験予備校の小論文講師に抜擢される。参考書「何を書けばいいかわからない人のための小論文のオキテ55」はシリーズ累計25万部のベストセラーに。
その後、所属予備校が業界最大手から陥落し全国の校舎を閉鎖、自身もリストラされる怒涛の数年間を経験。意思疎通のエラーで混乱していく組織を詳細に観察し「ビジネス国語」を体系化する。独立後は社会人教育に転身し、大手企業の社員研修に多数登壇。受講者との軽妙なやり取りは「研修というより、めちゃくちゃ役に立つエンタメ」と評される。
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