高校授業料無償化に続き、今度は大学にも無償化の話が浮上しているようです。
「貧しいために教育の機会が奪われるのは不条理だ」
「奨学金の返済に苦しむ卒業生が多い」
だから大学も無償化して、国民の教育負担を減らしてあげようという理屈のようです。
しかし、本当の問題は
「大学を出ても稼げなくなっている現実」にあるのではないでしょうか?
もし大卒の方が高卒よりはるかに高い収入が得られ、簡単に学費の元が取れるなら、
借金してでも大学を出る価値はあります。
大学進学にお金を使うことは本来「投資」だったのです。
返済型の奨学金はそういう意味で「投資型の借金」でした。
卒業後に奨学金を返せない社会人が増えているということは、
いまの日本では大学進学が「投資」ではなくなっている、ということです。
「大学を出る=稼げる」にならなくなっている、ということです。
それなのに国が負担してまで大学を無償化しようという話になっているのは、
「投資にはならないが、一応大学くらい出ておかないと(たぶん)もっと苦労するから」
という後ろ向きの理由で誰もが大学に行きたがるから。
つまり、大学の学費が「投資」ではなく「必要経費」になっているのです。
経費だから、「できればお金を出したくない」という節約論になってしまっているのです。
投資としての意味を失った大学を無償化したら、どうなるか?
学生は「どうせタダなんだから」というモチベーションになり、
教員も「どうせタダなんだから」というクオリティになる。
目に見えています。
いまの大学教育が時代に合っていないのかもしれないし、
若者を活かせない企業が悪いのかもしれませんが。
いずれにせよ、大学の無償化を議論する前に、
大学を「借金して入っても元が取れる投資先」にする方法を考えるのが先でしょう。

合同会社ロジカルライティング研究室 代表
ベストセラー参考書「小論文のオキテ55」シリーズ著者
就職試験の論文をほぼ白紙で提出し3社連続で落とされた敗北感をきっかけに論文試験の攻略法を研究。誰でも書ける独自のメソッドを開発した結果、大手大学受験予備校の小論文講師に抜擢され、NHKの教育バラエティ「テストの花道」にも出演。参考書「何を書けばいいかわからない人のための小論文のオキテ55」はシリーズ累計25万部のベストセラーとなる。
現在は社会人教育に転身し、製造、IT、建設、エネルギー業界を中心に大手企業60社以上の社員教育に携わる。「受講した翌日、契約が取れた」「険悪だったリームの雰囲気が変わった」など即効性のあるノウハウが支持される。
「世のつまらねえ研修を撲滅し、楽しく学べて役に立つ魔法に変える」がモットー。