駿台予備学校の日本史のテキストが炎上したそうです↓

「駿台、テキストの竹島・南京記述を一部削除 「批判ツイート多く」(2021年9月13日 朝日新聞デジタル)」

「日本史記述削除、駿台撤回へ 竹島・南京めぐり 講師と合意」(10月14日 朝日新聞デジタル)

 

講師が左寄りの書き方をしたらネットに晒され炎上したため、

予備校側が削除したところ、

今度は講師たちから「教育の自主性を侵害する」と抗議され、

「削除を撤回」という面倒くさいことになったそうで。

 

駿台職員のみなさん、お疲れ様でございます(笑)

代ゼミは講師に右も左もいて、どちらも「キャラ」または「芸風」としておおらかに許容されていました。

 

予備校って「右を教えるか左を教えるか」ではなく、

「いろんな立場の言説を客観視すること」を教える場所じゃないでしょうかね?

 

というわけで、元代ゼミの国語講師が駿台の日本史のテキストをチェックしてみましょう。

問題となった記述はこちらです↓

③南京大虐殺
〇日本軍による大虐殺
〇南京における日本軍の組織的な掠奪・強姦・虐殺・放火
〇占領後2カ月間にわたる虐殺
〇中国民衆・投降兵・捕虜の虐殺は十万人以上
・中国側は30万人以上と考えている
〇「虐殺はない」と事実の隠蔽を図る人々は好んで「南京事件」と
〇南京大虐殺は即座に世界に伝わり国際的に非難される
・極東国際軍事裁判(東京裁判)で南京大虐殺の罪も裁かれる

 

国語的には、「事実の隠蔽を図る人々は好んで」という表現がアウトだなあ。

 

人の心の中は、本人にしかわかりません。

「隠蔽を図る」も「好んで」も、他人による推測でしかないわけです。

中には「証拠を見つけられず困った人々が仕方なく南京事件と呼んでいる」ケースもあるかもしれない。

 

文章の中に主観表現が混じると、「偏ってる感」を引き立たせてしまうんです。

 

「虐殺と殺人と戦闘による死亡の違いは何なのよ?」とか

「十万人以上の根拠は何?」とか

「即座にって、何秒?」とか

「東京裁判では『南京大虐殺の罪』という罪状だったの?」とか

次々と疑いが浮上してしまうんですね。

 

ちなみに、2009年のセンター試験で実際に出された南京関連の問題がこちらです↓

問5.1920年代から30年代にかけて日本軍の国外活動に関して述べた次の文1~3について、古いものから年代順に配列したものを選べ。

1 日本軍が中国の都市南京を占領するに際して、捕虜や非戦闘員を殺害する事件が起きた。
2 中国東北部での日本軍の活動に対して、国際連盟からリットン調査団が派遣された。
3 関東軍参謀河本大作らが、中国軍閥の一人である張作霖を、奉天郊外において爆殺した。

 

日本軍が南京を占領したのも、そこで殺害が起こったのも事実でしょう。

でもセンター試験では「虐殺」とか「◯◯を図って」という主観表現は含まれていません。

だからこの出題を巡って炎上することはなかったわけですね。

 

文章に説得力を持たせるには

主観表現で熱く語るのではなく、客観表現に徹するのが正解です。

 

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