【私の黒歴史】「小論文を再定義して合格率倍増」とプロフィールに書けるようになるまでの話
私の参考書の著者プロフィールには必ずこう書いています。
「代々木ゼミナール講師時代、小論文を「文章表現ではなく問題解決能力のテスト」と再定義することによって合格率を倍増」
今日はこの「合格率倍増」の裏話をしたいと思います。
実は私、小論文の先生になるつもりはなかったんですよ。
英語の先生になろうと思って代ゼミの採用試験を受けに行ったら、
担当者が間違って私を国語枠にエントリーしていたんです(笑)
「これも天の声かな?」くらいのノリで現代文講師になりました。
2年後、今度は「小論文も教えてくれ」と言われました。
やったことねーよ。書いたこともねーよ。。。
しょうがないので、最初は樋口先生とか田村先生とかの有名どころの本を読んで、
恐る恐る教えてみるわけですが、
自分でも「何を書けばいいのか」がわかっていないので、教えようがないんですね。
無理やりそれっぽい「模範解答」的なものを書いて配っていましたが、
いま思えばすべて【ガッカリ答案】です。
(この年度は私の黒歴史・・・)
生徒の評判も散々で、100人いたクラスが7人になり(!)
アンケートでも現代文での高評価を小論文の低評価が打ち消してしまい・・・
代ゼミの年間コマ数も減らされて崖っぷちに立たされました。
追い詰められて、
当時金髪だった私もさすがに腹をくくります。
「小論文を一から研究し直そう」
まずは実際の入試問題を見るところから。(それすらしてないからダメだったんですがw)
当時、河合塾から全国の大学の小論文の問題を収録したボックスセットが発売されていて、
それを買って文系理系、国立私立を問わず大量の問題に目を通しました。
干された予備校講師は春休みが長いので。
すると気づくんですね。
小論文が求めているのは「個人的な主張」ではなく「世の中の問題を解決する方法」じゃないか?と。
そして2000年の新学期が始まりました。
「小論文は問題点を挙げて、解決策を書くんだよ」
教えたのはこれだけ。まだ段落構成とかのメソッドは未完成でした。
最初に反応したのが添削者(大学院生のバイト)たちです。
「鈴木先生のクラスだけ漢字や言葉遣いのミスが少ない」
言葉遣いの指導なんかしていないんですが、「何を書けばいいのか」というゴールが定まると表記ミスが減るんですね。
私の模範解答は・・・まだ【モヤモヤ答案】だったかな?
「講演会でPRしよう」とか書いてましたから(笑)
それでも、その年のクラスから「小論文で受かった」という生徒が私の知る範囲で15人くらい出たんですね。(実際は英語や数学との総合点で決まりますが、本人が社交辞令でも「小論文で受かりました!」と報告してくれた分です)
前年は1人でしたから(それもたぶん英語で稼いだから)、正しくは「合格数15倍」(笑)
ここから毎年、三段落構成をパターン化したり、設問のタイプごとに切り口を選んだり、
問題解決のルールを体系化したりと、一歩ずつ改善を重ねました。
2011年に出した「小論文のオキテ55」はその辺のノウハウが完成する手前くらいです。
だから初心者向けとしてはちょうどよかったのかもしれません。
「小論文=問題解決」に気づいてから12年も経っていましたね(汗)
もうちょっと早く進化できたんじゃないかという気もしますが。。。
〈メルマガ【論文アカデミー】2021.4.21 Vol.003〉

ビジネス書・受験参考書著者
株式会社キャリア・サポート・セミナー顧問講師
「ビジネス書著者のロジック✕予備校講師のわかりやすさ」を武器とする企業研修講師。
若手社員〜管理職の問題解決トレーニングのほか、広報・セールスライティングのコンサルティング、プロの著者を対象とした文章指導など幅広く活動。
公開セミナーでは満席御礼を連発し、「受講翌日に契約が取れた」「職場の人間関係が改善できた」「笑いと学びが濃密で3時間まったく飽きない」などの評価を得るほか、セミナーの内容をまとめたビジネス書『ミニマル思考 世界一単純な問題解決のルール』は韓国、台湾でも翻訳出版される。
代々木ゼミナール講師時代、ロジカルシンキングを高校生向けにアレンジした参考書『何を書けばいいかわからない人のための小論文のオキテ55』を出版。発売から6年連続Amazonカテゴリ1位、シリーズ累計20万部を超えるヒットとなり、2013年から2014年までNHK Eテレ「テストの花道」に小論文の先生として出演する。
1969年、青森県生まれ。東北大学大学院文学研究科修士課程修了(認知心理学専攻)。