CSS公務員セミナーでは「教養論文」全5回の講義がスタートしました。
定番の例題といえば「待機児童問題」。
このお題で「三段落構成を作ってみよう」というと、
だいたいこうなります。
【解答例A】
①問題提起「保育所が足りない」
②原因「財源、場所、保育士が足りないからだ」
③解決策「補助金を増やそう、そのために増税しよう」
なんかもう、全員同じこと書きますね(笑)
これじゃ差がつかないし、内容もありきたりというか既視感あります。
てか、そんな簡単にお金が出てきたら苦労しないよね?
ここが分かれ道です。
このままで書いて出すか、もう1ステージ上を考えるか。
どうせ保育所も保育士も簡単には増やせないんだから、
他に子どもを預ける手段を考えません?
たとえば、ベビーシッターとか。
外国では女子大生の定番バイトですが、
日本の女子大生はベビーシッターやらないですね。
「だって、求人すら見たことないですよ」
へー、家庭教師の求人は多いのにね。
どうして日本ではベビーシッターが普及しないんでしょう???
国民性? まだ馴染みがないから?
いえいえ。普及しないものには普及しない理由があるはずです。
家庭教師とベビーシッターの違いは何でしょう?
それぞれ「いつ、どこで、誰に、何を」する仕事でしょう?
家庭教師は「夕方以降、母親もいる自宅で、小中学生に、勉強を教える」仕事です。
ベビーシッターは「日中、母親が留守の自宅で、幼児の、命を預かる」仕事です。
そうですよ。母親が仕事に行って留守の自宅で
赤ちゃんと他人が二人っきり。
実際、子どもが怪我をしたり亡くなったりする事故や事件が過去にもありました。
自宅の金品を盗まれたという芸能人の話もあります。
ベビーシッターが普及しない理由は
「留守の自宅で、赤ちゃんと他人が二人っきりになる」という「状況」にあったのかもしれません。
では、解決策はどうしましょう?
「いいベビーシッターを養成する」
「自宅に監視カメラを設置する」
それもありかもしれませんが、どう育てたら信用できるベビーシッターになりますかね?
それに監視カメラを誰がチェックします? お母さんは仕事中です。
要は「自宅で二人っきり」じゃなきゃいいんですよ。
「ベビーシッター用の共有スペースを作る」というのはどうでしょう?
スーパーのキッズコーナーみたいなイメージです。
ベビーシッターと赤ちゃんのペアが何組もいれば、
常に他人の目があるので安心です。
それにベビーシッターが二人以上いると「トイレ行く間ちょっと見ててもらえる?」なんてこともできて、仕事が楽になります。
行政がやってもいいでしょうし、民間企業がビジネスとして展開しても需要ありそうです。
ここまで考えると、こんな答案ができます。
【解答例B】
①問題提起「保育所の代わりにベビーシッターを活用できないか?」
②原因「留守の自宅で幼児と二人きりになることで、事故や事件の心配があるから」
③解決策「ベビーシッター用の共有スペースを作ろう」
せっかくなので元の答案と比較してみましょうか。
【解答例A】
①問題提起「保育所が足りない」
②原因「財源、場所、保育士が足りないからだ」
③解決策「補助金を増やそう、そのために増税しよう」
どっちが建設的な議論でしょう?
「ありきたりな文章」になったら、チャンスです。
前提を見直して1ステージ上のアイデアを出しましょう。
「ビジネス国語」によって職場の諸問題を解決する研修講師。
就職試験の論文をほぼ白紙で提出し3社連続で落とされたのをきっかけに論文試験の攻略法を研究。誰でも書ける独自のメソッドを開発した結果、大手大学受験予備校の小論文講師に抜擢される。参考書「何を書けばいいかわからない人のための小論文のオキテ55」はシリーズ累計25万部のベストセラーに。
その後、所属予備校が業界最大手から陥落し全国の校舎を閉鎖、自身もリストラされる怒涛の数年間を経験。意思疎通のエラーで混乱していく組織を詳細に観察し「ビジネス国語」を体系化する。独立後は社会人教育に転身し、大手企業の社員研修に多数登壇。受講者との軽妙なやり取りは「研修というより、めちゃくちゃ役に立つエンタメ」と評される。
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