他人のネタを話すときには、オリジナルだと錯覚するくらい磨き込んでおこう
元代ゼミ生という方に会いまして。
私の現代文の授業も受けていて、しかも福田寮に住んでいたそうで。
共通項がいっぱいあるので話は盛り上がるわけですよ。
で、彼が言い出しました。
「昔は席取りが激しかったですよね〜」
90年代までは生徒数が多かったので、教室の席を取るために朝早くから並ぶなんてこともありました。
でも、あれ? 彼がいた頃もそんなに激しかったっけ?
「始発から並んで、シャッターが開き始めたら滑り込んでエレベーターに走るんですよ。ライバルのエレベーターを2本指でタラララーッと各駅停車にする係がいて・・・」
おや?
どこかで聞いたそのフレーズ。
というか、私の持ちネタそのまんまじゃないか?
福田寮と仙台一高のグループが「席取り合戦」というアホな抗争を繰り広げていたときの話というのがあって、
代ゼミ仙台校ではどのクラスでも必ず話していた鉄板ネタだったんです。
おそらく授業で聞いた私の鉄板ネタを
大学に入ってからも、社会人になってからも、
さも自分の話のように披露してウケていたんでしょう。
いつの間にかネタ元が私であることも忘れていたんでしょう。
ただのパクリの域を越えて、立派な自分の話芸になっていました。
上手いから、まあいっか(笑)
かと思うと、こんな人も。
「鈴木先生の『3D話法』の話、紹介させてください!」
とかいって、ご自身のセミナーで引用してくれたのですが、
それ、本に書いてある例をそのまま読んでるだけじゃん!
てか、そこから始めると前提が伝わってないってば!
図に沿って書いてあるものを図なしでしゃべってもわからないから!
会場全体がビミョーな空気に。。。
「ただ引用しました。」というレベルのトークのおかげで、
思いっきり滑っている「鈴木鋭智先生の3D話法」って(泣)
同じ「他人のネタを話す」でも、
自分のものになっているか否かで
伝わり方は天と地ほども違うものです。
<メルマガ【ミニマル思考カフェ】2019.10.28 Vol.0426>

シリーズ累計25万部のベストセラー参考書「何を書けばいいかわからない人のための 小論文のオキテ55」の著者。代々木ゼミナール小論文講師を経て、現在は文章力トレーニングの専門家として大手企業の社員研修に多数登壇。合同会社ロジカルライティング研究室代表。