毛皮のコートの取り出し方ひとつで上客を逃しているレストラン
あるレストランでのことです。
いい店だったんです。
料理も美味しいし、店内の雰囲気もいい。
でも、
店を出るとき、預かっていたコートを出すわけですが、
クローゼットからハンガーごと取り出してコートを外すのではなく、
ハンガーがかかっているままで
コートやマフラーをズルズルと引っ張り出すんです。
ハンガーや他の客のコートと擦れながら引き抜かれるわけですよ。
高いカシミヤや毛皮のコートを大事に着ているお客さんは、二度と来ないかもしれません。
「気になるんなら安いコートを着ていけばいい」という話でもないんです。
特別な日のデートに大事な人を連れていく店として選ばれなくなるって話です。
ハンガーごと外すかどうかという、ちょっとした違いなんですが、
これが客層を決める「フィルター」になっていたりするわけです。
駐車場が「客層フィルター」になっていることもありますね。
ベンツのGクラスを余裕で止める広さがないとか、
入り口に段差があって車高の低いフェラーリが入れないとか。
店の雰囲気とかブランドとかではなく、
物理的に来店できないわけです。
高いものを身に着けているときと
安いものを身に着けているときでは
身のこなしも物の扱いも、目に入る風景も違ってきます。
ターゲットとするお客様と同じものを着て、同じ目線で動いてみる。
やってみると、意外なところに「客層フィルター」が見つかるかもしれません。。

シリーズ累計25万部のベストセラー参考書「何を書けばいいかわからない人のための 小論文のオキテ55」の著者。代々木ゼミナール小論文講師を経て、現在は文章力トレーニングの専門家として大手企業の社員研修に多数登壇。合同会社ロジカルライティング研究室代表。