「勝手なやり方で仕事をする社員に困っている。この人を変えるにはどうすればいいでしょう?」
よくいただくご相談です。
聞くと、今回のケースは50代の営業マン。
見積書を作らずに契約を進めるので、
あとになってから金額が変わったり「聞いてないよ」的な話になったりして、
バックオフィスが大変苦労しているとのこと。
50代ですからねえ。。。
いまから説教しても、長年染み付いたやり方を自分から変えてくれるとは思えません。
見積もりを作らない営業というのはよくある話で、
取引先と親しくなりすぎて、他社との競争もない状態だと
「じゃ、今回もそんな感じで」になりがちです。
この場合、取引先も「共犯」なので、こちらの社員だけ「教育」してもダメなんですよ。
もし、そんな営業が何人もいるなら、
担当を定期的にチェンジして、「なあなあ」になれない構図にするという手もあります。
(公務員が定期的に異動するのも「なあなあ」を防ぐためです)
でも、50代ベテラン社員一人が問題だという場合、
その人が個人的にその取引先をつないでいる可能性もありますから、そこは慎重にしましょう。
「バックオフィスは楽になったけれど、取引先を一つ失った」なんてことになっては本末転倒ですから。
もし人手に余裕があれば、
「話」担当と「紙」担当を分けるという手もあります。
話だけ営業に進めてもらって、見積書などはバックオフィスから取引先に送って「これでいいですか?いいですね?」と確認する。
紙仕事が嫌いな営業を間に挟んで伝言ゲームするよりも、
「手戻り」が減るので結果的には効率が上がるかもしれません。
いずれにせよ、
いままでのやり方にどれだけ実害があり、改善案にどれだけ実利があるか、
費用対効果は細かく考える必要があります。
「で、いままでどんな実害がありました?」
「いままでの実害じゃないんですけど・・・
私、あの人が会社に通さず自分で受注して、懐に入れているんじゃないかと疑ってるんです」
そっちかー!(笑)
業種によってはあり得る話ですね。
だったらなおさらダブルチェックの意味も含めて
取引先との接点を営業一人にしない方が安全かもしれません。
やっぱり「この人を変えよう」じゃなかったんです。
人の性格に頼らない、仕組みを作りましょう。
「ビジネス国語」によって職場の諸問題を解決する研修講師。
就職試験の論文をほぼ白紙で提出し3社連続で落とされたのをきっかけに論文試験の攻略法を研究。誰でも書ける独自のメソッドを開発した結果、大手大学受験予備校の小論文講師に抜擢される。参考書「何を書けばいいかわからない人のための小論文のオキテ55」はシリーズ累計25万部のベストセラーに。
その後、所属予備校が業界最大手から陥落し全国の校舎を閉鎖、自身もリストラされる怒涛の数年間を経験。意思疎通のエラーで混乱していく組織を詳細に観察し「ビジネス国語」を体系化する。独立後は社会人教育に転身し、大手企業の社員研修に多数登壇。受講者との軽妙なやり取りは「研修というより、めちゃくちゃ役に立つエンタメ」と評される。
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