講師モードとコンサルモード
セミナーの休憩時間や終了後に
ご質問をいただくことはよくありますが、
私の場合、さっき話した講義の内容について質問されることは滅多にないんです。
(たまに「メモが追いつかなかったのでもう一度」と言われることはあります。早口なので・笑)
ほとんどが普段のお仕事に関するご相談なんですね。
「いい話を聞けました♪」で終わらず、
実践への一歩を踏み出している。
素晴らしいことです。
某大学で、ゲスト講師として講演したとき、
質疑応答の時間を設けたら誰も手を挙げないんですよ!
えーっ?! 滑ったかなあ? そんなにつまらなかったかなあ?(汗)
司会役の教授も気まずそうにしていましたが、
終了した途端、教壇の前に長蛇の列ができたんです。
そのほとんどが、ものすごく個人的な相談。
「好きな子とうまくいってない」とか「進路のことで悩んでる」とか。
そりゃ200人いる教室では手を上げにくいわけですよ(笑)
(いま思い出しました。代ゼミ時代も講義内容の質問はほとんどなく、講師室に来る生徒は人生相談ばかりでした)
このように「しゃべる合間に相談に乗る」というのが私のスタイルなのですが、
このとき「スイッチの切替」が必要なんです。
「講師モード」のときは、ひたすらしゃべっています。
受講者に質問をよく振りますが、
話を展開するための「誘導」であって、あくまでも私のしゃべりを盛り上げるためです(笑)
でも、休憩時間や終了後に相談を受けるときは
先にしゃべっちゃいけないんですよね。
どんな事情で、何に困っているのか?
その質問の裏の本音は何か?
聞き出すことが何より大事なんです。
これが「コンサルモード」。
そもそも初対面の「先生」に最初からオープンマインドで話してくる人も滅多にいません。
最初は具体的な情報を伏せた、かなり丸めた形で質問されます。
そこからいろいろ聞いていくと、
最初に聞いた話とはぜんぜん違う風景が見えてくることも多いんです。
困ってるポイントは、そこじゃないじゃん!的な。
質問タイムはコンサルモードに切り替える。
しゃべらず、聞き出すことに徹する。
って、何でこの話を書いているかというと、
言ってる自分がこの鉄則を忘れてしくじったからです、最近(苦笑)

シリーズ累計25万部のベストセラー参考書「何を書けばいいかわからない人のための 小論文のオキテ55」の著者。代々木ゼミナール小論文講師を経て、現在は文章力トレーニングの専門家として大手企業の社員研修に多数登壇。合同会社ロジカルライティング研究室代表。