小論文指導は「書き方」を教えるのが先か「読み方」を教えるのが先か問題
小論文を教えていて、一番ガックリするのが
1200文字びっしり書いているのに、
課題文の理解がズレているので内容が的外れ・・・
という答案ですね。
いっぱい書いた努力が見えるだけに、全否定するのも心苦しい。
かといって、これでOKを出してしまうと本人のためにならない気がする・・・。
書く練習が先か読む練習が先かという問題が悩ましいのは
その生徒がどこまで伸びる子か予想つかないからです。
順調に読解力がつくのなら「読む→要約→書く」の順番で教えていいんですが、
やってもやっても読解力がつかない子って一定数いるんですよね。
学力的に読解力がない子の場合、
私は「書ければいいや」と切り替えます。
おそらく難関大学にトップで合格しようという感じではないでしょうから。
読めてなくても書ければ受かる大学もたくさんあります。
一方で、
一見優等生風で、文章力はあるのに読み方がいつもズレているという子もいます。
先入観あるいは常識が強いのかもしれません。
このタイプは公務員試験の論文には強いんですが、
大学入試の小論文では引っかかるんですね。
大学教授は常識を批判する視点の文章をよく選ぶので。
私だったら、
こういう子には課題文型の小論文をやらせる前に
グラフ問題を出しますね。
私の本によく出てくるエイズや結核のグラフのように、解釈が2つに割れる問題です。
文章を読む前に、「物事には別な見方もある」ということを教えるわけです。
それをクリアしたあとで課題文を要約する練習に入ると、
少なくとも「解釈が違う」ということに納得しやすくなるようです。
読解力のない子にはグラフ問題。
私の小論文の本で必ずグラフ問題を扱っている理由でもあります。
〈メルマガ【論文アカデミー】2021.4.13 Vol.001〉

ビジネス書・受験参考書著者
株式会社キャリア・サポート・セミナー顧問講師
「ビジネス書著者のロジック✕予備校講師のわかりやすさ」を武器とする企業研修講師。
若手社員〜管理職の問題解決トレーニングのほか、広報・セールスライティングのコンサルティング、プロの著者を対象とした文章指導など幅広く活動。
公開セミナーでは満席御礼を連発し、「受講翌日に契約が取れた」「職場の人間関係が改善できた」「笑いと学びが濃密で3時間まったく飽きない」などの評価を得るほか、セミナーの内容をまとめたビジネス書『ミニマル思考 世界一単純な問題解決のルール』は韓国、台湾でも翻訳出版される。
代々木ゼミナール講師時代、ロジカルシンキングを高校生向けにアレンジした参考書『何を書けばいいかわからない人のための小論文のオキテ55』を出版。発売から6年連続Amazonカテゴリ1位、シリーズ累計20万部を超えるヒットとなり、2013年から2014年までNHK Eテレ「テストの花道」に小論文の先生として出演する。
1969年、青森県生まれ。東北大学大学院文学研究科修士課程修了(認知心理学専攻)。