3acb0a19b52fbd20107c3f63fd611503_s

セミナーの後、受講者お二人から別々にほぼ同じご相談を受けました。

 

「ミニマル思考のルールによると、「不公平感」は気分だから「実害のないもの」として真っ先に切り捨てられる。でも職場の人間関係や人事評価では社員同士の不公平感という問題は無視できないのではないか?」

 

たしかに成果主義によって社員の間に昇給・昇進の差がつくと「不公平感」は生じるものです。この「不公平感」を放置しておくと、社員のモチベーションが下がったりチームワークに亀裂が入ったりと、さまざまな「目に見える問題」が発生します。

ところが、だからといって「今までの成果主義には問題があった。これからは年功序列、横並びにしよう」というと今度は成果を上げていた社員から不満が出ます。

 

このため成果主義か横並び主義か決めきれず、揺れてしまっている組織も多いのではないでしょうか?

 

この「成果主義はダメだったから横並び」という発想は「不公平感」という「気分」そのものを問題にしてしまっています。気分は人によって感じ方が違うもの。成果を上げている人にとっては成果主義こそ「頑張りが報われる『公平な制度』」です。一方、成果が出ず「不公平」を見せつけられた人の中にも、「よし、次こそ見返してやろう」と火がつく人もいるものです。

彼らにとっては「成果主義は不公平」という社員は単に「努力が足りない人」。横並び主義こそ「自分の成果が他人に奪われる『不公平』な制度」にしか見えないのです。

 

そこで、そもそもの「問題提起」を見直してみましょう。問題提起において重要なのが、「気分ではなく事実を語る」というルールです。「不公平感」という「気分」を「事実」に変換してみましょう。

たとえば「不公平感」によってどんな「事実」が引き起こされているか?

・不公平に不満を持った社員が年間何人離職している
・不公平感でチームワークに亀裂が入り、生産性が何パーセント落ちた
・不公平感から嫌がらせなどの問題行動に走る社員が何人いる

こうすれば、社内の誰が見ても「解決すべき問題」になります。ただ、これだけだと単なる「対症療法」で終わってしまうかもしれません。

別な「事実」の挙げ方も考えましょう。

不満を持つ社員は、どんな「事実」をもって「不公平」と呼んでいるのか?

・給与やボーナスなど収入の差がつくこと
・成果を上げた社員が高級外車や高級腕時計を見せびらかすこと
・自分も成果を上げたのに、上のポストに空きがなくて昇進できないこと
・成果を出そうにも、そもそも打席に立つチャンスが与えられていないこと

羽振りの良さを見せつけられるだけなら、それを奮起のきっかけにすることもできます。しかし「上のポストに空きがない」「打席に立たせてもらっていない」であれば下剋上のチャンスがありません。

「不公平感」という「気分」の裏にある「事実」は、こうした構造的な問題だったりするのです。

もっとも、上のポストに空きがあるかどうかというのは会社によって事情が異なります。成長発展中の企業では支店を増やしたり新部門を立ち上げたりして新たなポストが次々に作られますが、安定期に入った企業では新しいポストが増えません。

入社3年目くらいの若手社員が「あの会社に入った同級生はもう店長を任されているのに、俺はこの会社でまだ平社員……」と自分の会社に不満や不信を抱くことはよくありますが、これは「社内でポストが空く仕組み」を知らないことが原因だったりもするのです。

 

さて、もし「不公平感」の正体がこのような「硬直化した組織」にあった場合、「不公平感を緩和するために成果主義をやめて横並びにする」というのがベストな解決策ではないことはご理解いただけると思います。

ましてや「励ます、飲み会でガス抜きさせる、心のケアをする」なども論外ですよね。

「ポストを流動的にする、チャレンジの機会だけは全員に回す」などの制度ができれば、今までくすぶっていた社員も下剋上の野望に燃えてくれるかもしれません。

 

このように、問題提起を「気分」から「事実」に置き換えるだけで、解決の方向は大きく変わってくるものなのです。




《メルマガ登録をおすすめします!!》

日刊メールマガジン【ミニマル思考カフェ】

日々アップデートされる鈴木鋭智のコンテンツ。
その最新版をお届けします。

セミナー、出版の最新情報、
さらにはブログには書けないディープな話も。

ブログにアクセスしなくても、毎日お昼ごろに届きます。


かんたん登録はこちらから
登録 解除
*メールアドレス



《セミナーのお知らせ》

◆2019年08月19日(月) 10:00~ 13:00【空席わずか】
SMBC定額制セミナー「問題解決のためのミニマルシンキング(最小限の思考法)」
http://bit.ly/2x6OTwp

◆2019年08月19日(月) 14:00~ 17:00
SMBC定額制セミナー「伝わる、勝てるプレゼンの技術」
http://bit.ly/2InFsiBhttp://bit.ly/2InFsiB

◆2019年09月27日(金) 10:00~ 13:00【満席御礼】
SMBC定額制セミナー「報連相に強くなる ロジカルコミュニケーション」
http://bit.ly/2XWWgBa

◆2019年09月27日(金) 14:00~ 17:00【満席御礼】
SMBC定額制セミナー「仕事の評価と成果を上げる ロジカル文章術」
http://bit.ly/30FrH4K

◆2019年10月10日(木) 10:00~ 17:00
SMBCビジネスセミナー「ロジカル・ライティング~正しく伝わる文章術~」
http://bit.ly/2YWmepS



関連記事

鈴木鋭智(Eichi Suzuki)
ロジカルシンキング&ライティング講師
ビジネス書・受験参考書著者
株式会社キャリア・サポート・セミナー顧問講師
「ビジネス書著者のロジック✕予備校講師のわかりやすさ」を武器とする企業研修講師。
若手社員〜管理職の問題解決トレーニングのほか、広報・セールスライティングのコンサルティング、プロの著者を対象とした文章指導など幅広く活動。
公開セミナーでは満席御礼を連発し、「受講翌日に契約が取れた」「職場の人間関係が改善できた」「笑いと学びが濃密で3時間まったく飽きない」などの評価を得るほか、セミナーの内容をまとめたビジネス書『ミニマル思考 世界一単純な問題解決のルール』は韓国、台湾でも翻訳出版される。
代々木ゼミナール講師時代、ロジカルシンキングを高校生向けにアレンジした参考書『何を書けばいいかわからない人のための小論文のオキテ55』を出版。発売から6年連続Amazonカテゴリ1位、シリーズ累計16万部のヒットとなり、2013年から2014年までNHK Eテレ「テストの花道」に小論文の先生として出演する。
1969年、青森県生まれ。東北大学大学院文学研究科修士課程修了(認知心理学専攻)。