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大学受験予備校からビジネスセミナー、企業研修の世界に移ってきたとき、ちょっと驚いたことがあります。

「講師料は研修1日で◯十万円、オリジナルのコンテンツの場合はプラス◯万円でいかがでしょう?」

「そのコンテンツを弊社に譲っていただけませんか?」

「専門外でしょうけど、◯◯の講座を担当してもらえませんか?」

 

は?

 

「講師とコンテンツが別々に売り買いされる」という状況がすぐには飲み込めませんでした。

この業界ではまったくのルーキーでしたから。

 

大学受験予備校にいた頃は、講師それぞれがオリジナルの「解法」なり「暗記法」なり「勉強法」なりを提唱していて、受講生は「講師のパフォーマンス+その講師のコンテンツ」をセットで買う(受講する)という仕組みでした。

 

(ノウハウが極端に属人化されてしまうと、組織にノウハウがストックされないという問題はあるのですが)

 

もちろん英文法とか因数分解とか、長い歴史の中で体系化されているものも多いのですが、

それでもいまの生徒の理解力や関心に合わせて説明の切り口を工夫する余地はいくらでもあります。

それを自分で開拓した人の説明は生徒に刺さります。言葉にパワーがあります。

だって「俺様が発明したんだぜ!」とドヤ顔で語りますからね(笑)

 

予備校では「高校教員対象の研修」を引き受けることがあります。

「予備校の先生は教え方が上手くて面白い。学校の先生は教え方がつまらない」ということで予備校講師の「話術」や「解き方の切り口」を学ぼうという研修です。

でも、予備校講師から「問題の解き方」を教わってもダメです。

「自分で開発したノウハウ」にならないからです。

むしろ他人のコンテンツを受け売りで話している分、言葉にパワーが乗りません。

だって「質問されたら答えられるかなあ?」という不安が頭の片隅に残りますからね。

 

予備校での教員研修で先生方が学ぶことがあるとしたら、「講師が独自のコンテンツを作り続けている」という事実ただ一点です。

 

 

いま、学習塾業界のブラック化が問題となっています。

昔は「稼げるアルバイト」の筆頭だった塾講師ですが、残業が増える一方時給は下がり、勤務時間で割ったら居酒屋の時給に近くなっています。

これは、教え方がマニュアル化されてしまったことが原因です。

本部がコンテンツを作ってしまえば、あとは「誰が喋っても同じ」。むしろ映像を見せたら人件費もかかりません。

講師の人件費とDVDの費用が天秤にかけられているのです。

これから塾や予備校の「講師」として食っていこうという人は、「売れるコンテンツを作る側」に立つ必要があります。

 

 

で、話は戻ってビジネスセミナーと企業研修です。

この世界に入って初めて知りました。

「他人のコンテンツを語っても『講師』を名乗れるんだ!!」(笑)

 

でもやはり、たとえばロジカルシンキングの本を読んでロジカルシンキング講座を開き、

「ロジックツリーを作りましょう」と言ったとしても、

受講者はロジカルシンキングできるようにはなりません。

 

講師自身がいろんな場で実際の問題を解決して、そこで得たリアルな知見を伝える。

だから教科書の中の不要な部分は省き、教科書に書かれていないことを補うことができるのです。

そして「俺様が発明したんだぜ!!」とドヤ顔で語れるのです。

 

まったくのゼロから発明をしなくてもいい。

既存の大きな体系を教えるのでも構わない。

ただ、伝え方の切り口を工夫したり、既存のノウハウを実践してみたりと、自分でコンテンツを作る姿勢は必要です。

「俺様が発明したんだぜ!!」

これが「刺さるプレゼン」をする第一歩です。

 

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鈴木鋭智(Eichi Suzuki)

「『考える』のではなく『捨てる』“超”ロジカルシンキング」を得意とする企業研修、ビジネスセミナー講師。株式会社キャリア・サポート・セミナー顧問。代々木ゼミナール講師時代、小論文を「文章表現ではなく問題解決の科目」と再定義することにより合格率を倍増。参考書『何を書けばいいかわからない人のための 小論文のオキテ55』はシリーズ累計14万部を超えるヒットとなり、NHK Eテレ「テストの花道」はじめテレビ、雑誌でも活躍する。ビジネスの現場にも即応用できる問題解決メソッドとして、SMBCビジネスセミナーへの登壇を機に社会人教育に転身。満員御礼を連発するセミナーの内容をまとめたビジネス書『ミニマル思考 世界一単純な問題解決のルール』は台湾、韓国でも翻訳出版される。1969年、青森県生まれ。東北大学大学院文学研究科修士課程修了(認知心理学専攻)。